ラジオ高崎で放送中のMusique Sans Frontieres。2021年9月第3週の放送内の料理コーナーのために料理写真をこちらに投稿します。
9月第3週はトルコのトマト料理です。
今では使っていないトルコ料理を見つけるのが難しいほど、トルコ料理において重要な食材となったトマト。元々は中南米原産の野菜で、トルコにもたらされたのは19世紀になってから。当時はバンディジャーヌフランク(フランク人の茄子、西洋人の茄子)と名付けられたが、トマトの音をそのままトルコ語化したドマテスという名前が一般的になった。
イスタンブルの安食堂ロカンタの料理ケースを見ると、トマトやトマトペーストに基づく赤色の料理が
一番簡単なトマト料理はサラダ。トルコの一番一般的なサラダ「羊飼いのサラダ」はトマト、きゅうり、玉ねぎ、シシトウまたは青唐辛子、レモンが欠かせない。
角切りのトマトとロルペイニル(フレッシュチーズ)、黒オリーブにニゲラのサラダ。これは地中海やエーゲ海の料理
トマト、玉ねぎ、青唐辛子、パセリをすりおろし、赤唐辛子粉とトマトペーストを加えた定番メゼのアジュルエズメスィ
火を通したトマトの料理。まずはトルコの薄焼きピザのラフマージュン。すりおろしたトマトやパセリ、羊の挽き肉、赤唐辛子粉を、薄い生地に塗って、オーブンで焼く。パセリやレモンを絞っていただく。
朝食に欠かせない卵料理のメネメン。大人数用なので大きなフライパンで作っているが、一人用の小さなフライパンにトマトのざく切り少々と卵一個でも作れる。
トマトを煮詰めて濃縮させたトマトペーストは、日本では猫用のチュールくらいの大きさで(大さじ1?)一袋ずつパックされているが、トルコや中東では1kgサイズのブリキ缶で売られている。ちょうど日本料理における味噌のようなものだから。こちらは庶民のソウルフードにあたるクルファスリエ。白いんげん豆と少々のラム肉をトマトペーストで煮込んだもの。
トマトペーストはこんな感じに料理に使う。隣の濃い赤はビベールサルチャス、赤パプリカのペースト。両方とも見た目が味噌でしょう!
トマトペーストをお湯で溶いただけで何にでも使えるトマトソースが出来上がる。写真はキョフテ(肉団子)の上にマッシュポテトをのせて、耐熱皿に並べ、回りにトマトソースを回しかけて、オーブンで焼いたハサンパシャキョフテ
日本の味噌と同様に、大量生産のトマトペーストもあれば、自家製のトマトペーストもある。地方に行くと、自家製のトマトペーストにタイムやパセリ、オレガノを散らし、香りの良い自家製のオリーブオイルを回しかけただけのものが、朝食などに出される。パンやきゅうりに塗って食べる。
茄子やオクラやピーマンなどと同じようにトマトも乾燥させて保存出来る。こちらはイスタンブルの行きつけのギリシャ料理メイハネの人気メゼで、ドライトマトの魚詰め。ドライトマトやトマトペーストは生よりも旨味成分のリコピンが強くなる。
トルコ料理だけでなく、中東全域、そしてイタリア料理や地中海料理、更に日本料理でも、トマトはたった200年足らずの間に世界中の人間を虜にしたスーパー野菜なのだ!