サラームが出演するラジオ高崎Musique Sans Frontiereに連動した中東料理紹介、今月は中東のラップサンドですが、前の投稿が長くなったので、残りは別投稿にしました!
前の投稿では純然たるラップサンドを紹介したけれど、今度は無発酵の小麦粉の生地を更に薄く大きく伸ばしたもの、トルコのユフカとレバノンのホブス・マルクークを紹介します。
トルコのユフカ
ユフカはまさにトルティーヤと同じく、小麦粉の生地を薄く、薄く伸ばしたもの。まだ焼いていない状態だ。そしてラワーシュよりも遥かに薄いし、大きい。直径45cmくらいあるのだ。それをくっつかないように打ち粉を振って一枚ずつ売られている。スーパーマーケットでは冷凍食品コーナーに折りたたまれた状態で売られている。アナトリアの田舎では卵やチーズやほうれん草やネギを挟んで専用の大型の鉄板で焼く「ギョズレメ」が人気。ちょうど長野あたりのお焼きや、作り方は違うけど韓国のチジミのような感じ。
下はエーゲ海と地中海の間にある村カバック・キョユの一般家庭の裏庭。近所のおばちゃんたちが夏の間に訪れる観光客相手にギョズレメを作り売りしていた。
今度は2016年夏に一週間滞在した地中海の町アナムルの友人の実家でヌルギュルお母さんが作ってくれたユフカを何重にも重ねたパイ「ボレッキ」。バターやチーズやジャガイモなどがたっぷり詰まっていて、トルコ人は10時や3時のおやつとして食べるけれど、日本人がこれを食べたら、その後、一日何も食べられなくなる爆弾級!
レバノンのホブス・マルクーク
レバノンは合計3回、トータルで4週間しか滞在していないが、至るところでパン屋を見かけた。そして惣菜パンの種類の多さに驚いた。しかし、レバノン料理はレストランや友人宅で食べるだけで腹いっぱいになってしまい、パン屋までたどり着けたことがない。レストランではピタパンも出されたが、ユフカよりも薄く、ちょうど紙のように薄いパン、ホブス・マルクークが目立った。
作り方を知りたくて、厨房に入らせてもらうと、巨大なガス式のパン焼きグリル「サジ」の上で平たく薄く伸ばした生地を貼り付ける。すると10秒ほどでプク〜っと空気が入り、端からペリっと剥がして裏返して軽く炙って供する。テーブルでは乾燥しないように10枚ほどずつビニール袋に入れられていた。それでも乾燥は避けられないので、翌日になったら、放射状に切り、オーブンなどで焼色が付くまで焼き、グリーンサラダに砕いていれたり、カリカリのままテーブルにも並んでいた。ケバブの上を覆うような形で供されることもあるが、それは料理を冷まさないためのようだ。
ベイルートのファーマーズマーケットSouq el Tayebでは、ナポリピザの生地を空中で回して作るのと同じように、ホブスの生地を空中でくるくる回して、きれいな円形に仕上げてしまうおばちゃんを見つけた。サジの上でザータルをオリーブオイルで溶いたソース、青菜、ネギ、トマト、チーズをのせて、ラップサンド状に巻いてくれるのだ。後で知ったが、このおばちゃんは有名人らしく、海外からもわざわざ取材が来るそうだ。
最後にレバノンの薄焼きパンもうひとつ。これはカーケというパンで、竿に掛けたり、手で持ったりしやすいように穴が空いている。ゴマがふってあるのでトルコのスィミットやエルサレムやクラクフのベーグルの変形と思われる。夜中のドライブインで発見した。中空を切り開き、クリームチーズ、ザータル、オリーブオイル、黒オリーブを詰め込めるだけ詰めて出来上がり。レバノン人トランペッター、イブラヒム・マールーフのアルバム「Diagnostics」のライナーにイブラヒム本人が記していて、どんなものかわからなかったので、彼に会った時、真っ先に聞いた覚えがあるww。
前の投稿と違って、こちらは全然ラップサンドではないですね。投稿のタイトルを中東の無発酵パン生地と変えるほうがいいかも。←16:24 変えました。
それからレバノンのホブスに特化したオールカラーレシピ本がアマゾンで買えます。レバノンのパンだけで一冊!すごいでしょう!