サラームが出演するラジオ高崎Musique Sans Frontiereに連動した中東料理紹介、今月は中東のラップサンドです。
小麦の原産地は中東からコーカサス地域とされる。今も小麦を使ったパンは中東地域の主食。日本やフランスのパンのような二次発酵させたふっくらしたパンもあるが、一次発酵のみのパンや生地に酵母やイーストを加えないパンも多い。そこで今回は薄焼きのパン、英語でフラットブレッドを使って、具材を巻いたサンドイッチ、要は中東のラップサンドを紹介しよう。
トルコのデュリュム
まずはトルコから、日本でもおなじみのドネルケバブのラップサンド。薄焼きのトルティーヤに似た無発酵のパンは「ラワッシュ」と呼ばれ、ラワッシュで巻いたラップサンドは「デュリュム」と呼ばれる。もちろんフランスパンに似た通常のトルコパン「エクメッキ」に挟んでもらうこともできるが、デュリュムのほうが持ちやすいし、食べやすい。ドネルケバブだけでなく、串焼きのシシケバブや鶏のシシケバブ、辛いつくね状のアダナケバブなどもデュリュムにしてくれる。
ドネルケバブやシシケバブだけでなく、専門店のみで売っている横向きのドネルケバブ「ジャアケバブ」や、小腸のケバブ「ココレッチ」、そして昭和生まれの日本男子の魚肉ソーセージにも相当するジャンクなソーセージ「スジュック」などもデュリュムにできる。ジャアケバブはドネルケバブと比べると肉の質で勝負している店が多いので、見つけたらたとえ満腹でもデュリュムにして2~3本は持ち帰りたい。
次は2019年に訪れたTheWorld50BestRestaurantsに入賞している高級店Neolokalでいただいたテイスティングメニューのメインディッシュに出てきた「ママの肉団子」。肉団子「キョフテ」の上にも小さなラワッシュが被さっていた。
イスラエルのラップサンド
イスラエルでは無発酵薄焼きのラワシュよりも、一次発酵だけで平たく伸ばして焼いたピタパンのほうが目立つ。ピタパンは中空なので、巻くのではなく、中空のポケットに詰める。それでも時折クルっと巻いたラップサンド形式の売りにしているお店を時折見かける。詰める具材はつくね状のケバブや鶏のレバーとハツ焼き、ベジタリアン用にはひよこ豆のコロッケのファラフェル、米茄子のグリルのサビーフなど。
こちらはサビーフ。メインの具材は米ナスのスライスをたっぷりの油で焼いたもの。後はゆで卵のスライス、そしてファラフェルやケバブのサンドイッチ同様に各種サラダやピクルス、ソースはタヒーニやマンゴーのアチャールなど。肉でも豆のコロッケでもなく、主役は茄子ってのが渋いでしょう。それでもイスラエルの他のスナック同様に猛烈にお腹にたまるのだ!
レバノンのシャワルマ
トルコのドネルケバブはアラブに行くとシャワルマと呼ばれる。基本的には同じ料理だが、アラブだと包むのはバゲット状のパンではなく、薄い生地のラップサンド状が多い。下はレバノン・ベイルートの繁華街ハムラのメイン通りにあるケバブ屋にて。手前は鶏肉、奥は羊肉。僕は当然羊肉にしてもらった。閉店間際なので肉塊が随分小さくなっている。
おっと、長くなったので、残りは別投稿にします!