サラームが長年、海外のフェスティバルなどで撮影してきた秘蔵の音楽動画を「サラーム・アーカイブ」として少しずつ公開します。その第一弾は2025年春のコスタリカ編!
コスタリカ音楽とURAショーケース
Pura Vida! 2025年3月、中米の国コスタリカの首都サンホセで開催されたコスタリカ音楽と中米音楽のショーケースURAを訪れた。前年の秋に訪れたカナダ・トロントで、このショーケースの主催者、アレハンドロに出会い、意気投合し、誘われたのがきっかけ。

コスタリカ
中米に位置する小さな国。東はカリブ海、西は太平洋に面し、火山帯や熱帯雨林、山岳地帯が織りなす変化に富んだ自然環境に恵まれている。
国土の約25%が国立公園や保護区として守られ、全世界の生物多様性の約5%がこの国に存在するとされる生物多様性の宝庫。
1948年に軍隊を廃止して以降、「軍のない平和国家」としても国際的に知られ、教育・保健・文化政策に注力する持続可能な国づくりを進めてきた。

コーヒーやバナナなどの農産物の輸出に加え、エコツーリズムや文化政策も国を支える柱となっている。
挨拶や合言葉は「Pura Vida!」(ピュアな人生)。世界で最も国民の幸福度数が高い国として知られる。
コスタリカの音楽
太平洋とカリブ海に面したこの中米の小国は、先住民文化、スペイン植民地時代の遺産、アフリカ系やカリブ諸国からの移民文化、そして現代的な国際感覚が入り混じった音楽シーンを育んできた。民族楽器では木製マリンバやレキント(小型ギター)、トゥン・トゥン(太鼓)などが用いられる。
コスタリカを代表する音楽は「スイング・クリオージョ(Swing Criollo)」。20世紀の中頃、コロンビアの「クンビア」に、アメリカのスウィング・ジャズ、さらにコスタリカの民俗舞踊リズム「パスィーヨ」や「ボレーロ」などを掛け合わせたもの。特に都市部の中産階級に親しまれ、明るくダンサブルな曲調が特徴。

一方、カリブ海側のリモン地方ではジャマイカ系移民の子孫によってアフロカリビアン音楽文化が根付いている。カリプソやレゲエなどに加え、近年ではレゲトンも若者たちの間で人気。これらの音楽は英語系クレオール文化と結びついている。2023年2月に103歳で亡くなったWalter Gavitt Fergusonは、リモン地方の小さな漁村カウイタから生涯離れることなく、自作のカリプソを作り、カセットテープに吹き込み続けた。
太平洋側、とくにグアナカステ地方では、先住民や農村部の伝統音楽が脈々と受け継がれている。マリンバ、ギター、バイオリンなどの生演奏が日常生活や祝祭で使われている。女性シンガーソングライター、Guadalupe Urbinaはこの地域の音楽詩人として知られ、自然や女性の暮らしを歌に織り込んできた。

URA Mercado Cultural de la Música(ウラ音楽文化市場)
首都サンホセを舞台に開催されている音楽フェスティバル。「URA」とは先住民の言語で「音」を意味する。非営利の文化団体によって主催され、「音楽と文化を通じて社会をより良く変えていくこと」を使命に掲げている。

2025年度は、3月12日から16日まで開催され、コスタリカと中南米諸国から全19組の音楽アーティスト、10人の音楽関係者が参加した。単なる音楽フェスティバルにとどまらず、アーティスト、プロモーター、研究者、ジャーナリストなど多様なステークホルダーが集う「文化の交差点」となっている。
昼はワークショップやレクチャー、夜はライブやクラブイベントが連日開催され、出演者と来場者が自然に混じり合い、対話が生まれる空間となっている。
レクチャーは「音楽輸出と法的側面」、「地元アーティストの国際化戦略」、「音楽におけるナラティブとコミュニケーション」など。コスタリカを拠点としながら中南米の文化的ハブとして成長しつつあるフェスティバルだ。

ここでは中米コスタリカと中南米諸国から7組の注目アーティストをサラームが撮影した動画で紹介します。
コスタリカのアーティスト
Agrupación APÚ, Costa Rica
スイング・クリオージョのパイオニア。コスタリカ都市部のダンスホール文化と農村部の伝統音楽を融合。
Niña Jaguar, Costa Rica
北西部グアナカステ地方出身。先住民のリズムと自然信仰をエレクトロニックに昇華するトリオ。
Guadalupe Urbina, Costa Rica
グアナカステの音楽詩人。自然、女性、土地の記憶を歌に織り込むレジェンド的存在。
Abäk, Costa Rica
中南米のシャーマン信仰とヘヴィメタルを融合したペイガンメタルグループ。シャーマニックな世界観が特徴。
Barzo, Costa Rica
フォーク + エレクトロニカを軸に活動するプロデューサー/DJ Barzo(本名:Bartosz Brenes)は、伝統音楽と電子音響を融合させる実験的なアプローチ
Rialengo, Costa Rica
コスタリカ出身のシンガーソングライター/プロデューサー/ビデオジャーナリスト。アフロ・カリブ系音楽の継承と革新をテーマに、ラップと伝統リズムを融合させた音楽で、社会的・文化的なメッセージを発信している。映像作品『Buscando el Swing』などのドキュメンタリーも手がけ、音楽と言葉で地域の声を可視化する表現者。
他の中南米諸国のアーティスト
Grupo Enkelé, Columbia
コロンビア太平洋岸のアフロ女性グループ。ブジェレンゲを中心に、ジャズ・ヒップホップと融合。
Frieda, Mexico
メキシコ出身の女性シンガーソングライター Frieda は、伝統的なボレロの情感をエレクトロポップの文脈で再構築するアーティスト
Sari Carri, Paraguai
パラグアイ出身の女性シンガーソングライター。先住民グアラニー文化のフォルクローレと現代ポップ/オルタナティブ・サウンドを融合させた音楽性
© 2025 Salam Unagami | 制作・写真・構成:サラーム海上
