先日から双葉社Tabilistaで四年間書き溜めている料理紀行連載「旅とメイハネと音楽と」を一から見直している。
イスラエル人のシェフ、ユヴァルを築地に案内したことで、デリーのIndian Accentを紹介してもらい、そこでインドのモラキュラー料理と出会い、そのメニューの締めのペアリングワインでSula Vinyardsを知り、翌年にはエアインディアの仕事でSulaを取材に訪れた。
トルコの音楽祭取材のため乗った飛行機でイスラエル人社長と知り合い、その後、訪れたイスラエルで彼にガリラヤ湖畔のアラブ系ファインダイニングに案内された。
Indian Accentを知ったことで南インドのAvartanaを知り、訪れたチェンナイでインドの蟹料理を知り、後にシンガポールとマレーシア、ベトナム、新宿、荻窪でも蟹料理を掘った。
長年通いつめているトルコのタコ料理に興味がわき、トルコの地中海、エーゲ海を経て、ギリシャの島で料理の教室を二度訪れた。
イスタンブルの音楽系の友人を通じて、Foodexに来たトルコ人シェフたちを東京案内し、後に彼らがwww.theworlds50best.comに載る店のシェフだと知り驚きつつ、イスタンブルの彼らの店で歓待を受けた。
たった7泊の滞在で10以上もの記事となったポーランド取材も、この本の更に次の本のため、今年の初夏に第二回取材を敢行する。
というように、一つの記事は他の記事と切っても切れない糸がいくつも絡み合っている。それを今になって僕は再発見している。そして絡み合った糸を丁寧にほぐしながらも、その糸が切れないようにエディットしている。
次の本は、読者にとっては単なる「食道楽の旅紀行」にすぎないだろうけど、僕にとっては連載開始時には予想だにしてなかったわらしべ長者的な人生記録RPGとなりそうだ。