旅行記
Travelog
インド旅行記・ラジャスタン編 1 ジャイプールへ
インタビューしたり、パーティー行ったり結構充実しているような我々の旅。実はその間はまたもやヒマをもてあましていたのだった。なにしろ天気が悪くて、観光も思うようにできず、寒いし、飯はマズイいしで私は超不機嫌状態。やっと晴れてチャンドニチョウクに行ってみたら、カメラの露出をずらしたままで、折角撮った写真が白く飛んじゃって、それが元で大げんかしてみたり。今回は音楽に関しては非常にラッキーだったのだが、こと「観光」に関しては全然ついてない旅だった。
仕方ないので消費行動で気を紛らわし、ホテルの部屋でタミル語のチャンネルを見ながら、ああ南インドは楽しかった、ご飯もおいしくて人も陽気だったと、ぶーたれながら思い出に浸っていたのだった。コンノートプレイスにサラヴァナ・ヴァヴァンという南インド料理のチェーン店があり、南インドの楽しい日々を思い出すために、そこに何度も通ってしまった。この店チェンナイでは割と庶民的だったけどデリーでは内装もすっきり洗練されていて、値段もやや高め。身なりのいい人達でいつも満員なのだ。どこの国でもさっぱりしたヘルシーな料理が好まれるようになってるのかな。店員もほとんど丸顔でぷにっとした顔のタミル人で「ワナカム!」とタミル語で挨拶すると「ワナカム!」と笑顔で返してくれるし、旦那がラジニカントの真似をすると受ける受ける、おまけに歌まで歌ってくれて、ナゴミ系のキャラなんだ。ぎらぎらギトギトした北インド人とは別人種。
さて、そんなデリーの日々もようやく終わり、私達はさらに西へ、ジャイプールに向けて列車に乗った。本当は4時間で着く特急に乗るつもりだったが、月曜運休の為グジャラート行きの寝台列車に乗り込む(もちろんエアコンクラス)。向かいに座ったのは、こざっぱりしたいでたちのオヤジ。グジャラートまで丸一日以上かかる旅のはずなのに荷物は紙袋一個。しかも中にはカセットテープがいっぱい。
彼はおもむろにスピーカー付きのポータブルラジカセを取り出し、スイッチオン。電池が切れかかってテープも伸びきって、ぶよぶよにゆがんだ映画音楽が流れはじめた。身なりは良くても音質の良し悪しには無頓着ってことか。この国ってやっぱり騒音フリーなんだなあ。おっさんよく見たら実はヘッドホン持ってるんだよ。インドに来て2週間何度も聞いたヒット映画の主題歌が次々と流れる。毎日テレビで聞いてるから私達もほとんど歌える曲ばかり。外国人の私達も憶えられて、こんなおっさんから若者まで聞く、インドの映画音楽のすそ野は広い。
愉快なBGMを聞きつつ、予定より2時間遅れ約8時間でジャイプールに到着。ここでようやくからっと晴れた眩しい青空に出会えた。さんさんと輝く太陽。デリーから260キロで(これで8時間かかるなって)気候が全然違う。デリーで予約したアルヤニワスホテルにリキシャーで向かうと、ここがまた素晴らしいホテルだった。私達がインドで泊まったホテルの中でコストパフォーマンスNO1と言いたい。何が素晴らしいって、綺麗で清潔なこと、ただそれだけなんだけど、これがインドでは贅沢な望みだったりするんだ。しかもバスタブ付きで、お湯は24時間いつでもたっぷり出る。寒い夜の為にヒーターと清潔な毛布も用意されている。タオルも真っ白、部屋の中も隅々まで掃除されている。これだけ、日本ではあたりまえの事が涙が出るほどウレシイ・・・。これで850rp。
ちなみに私達がカルカッタで泊まっていた宿は、1500rpで一見きれいにも関わらず、ベッドにダニがいたし、トイレの脇の窓に鳩が住み着いていて、いつもトイレの中に羽根がまきちらされていた。(糞がなかっただけましか)。掃除だってチップを渡さないと満足にやってくれなかったし。最後の日にはボーイが訪ねて来て「私達6人、貴方のために働いたんだから何か頂戴」と言ってくる。こう書くとなんか最低なんだけど、なんとなく居心地も悪くなく、こんなもんでしょうと10日も滞在していた。
多分これがインドの都市部の平均的な中級宿なんじゃないかと思う。
もうそれにくらべりゃこの宿は天国。ここの凄いところはパンフレットにでかかでかと「NO CHIP PLEASE」と書いてあること。レストランもセルフサービスになっていて、チップを渡す必要がないようにしてある。料理も油っぽくなくさっぱりしていて、かなりいける。
整えられた、大きな庭にはテーブルが並んでいて、旅行者達が楽しげにお茶を飲んでいる。雲一つない青空、花が咲き、鳥のさえずりが聞こえる・・・。ここに着いた途端、疲れが芯からす〜っと抜けていった。今までの日々は何だったんだ、カルカッタの空気は、デリーの泥道は、1500rpの宿は何だったんだ。まあ、でも汚くてつらいインドがあって、こういう和みプレイスがあって、色々あるから旅は楽しいんだと帰ってきた今は思えるんだけどね。その時は絶対そうは思えないんだよね。