旅行記
Travelog

インド旅行記・デリー編3 デリーのクラブで

 ミディバルに会った翌日、彼らに薦められたカフェ&レコ屋へと足を運んでみた。場所はカーンマーケットという、パハルガンジからリキシャーで15分ほどの所にある小ぎれいな商店街で、ベネトンなどのブティック、サブウェイやマクドナルド、輸入食材店、本屋、電気屋などが軒を連ねている。といってもインドなので小ぎれいさが徹底されていなく、どこか途中で放置してしまったような半端な雰囲気の所であった。ミディバルオススメの「タートルカフェ」なる店は、古い建物を改装したような作りで、一階が本屋、二階がレコ屋と雑貨屋、三階が地中海風なカフェになっている、原宿とかにありそうなこじんまりした洗練された雰囲気の店だった。が、入り口でカフェのメニューを見てう〜んと立ち止まってしまった我々。お昼のラザーニアセットが270rp、飲みものも最低で60rpもするではないか。別にマハラジャ風の金ぴか豪勢なレストランじゃない、普通のちょっとこじゃれたカフェなのに。270rpってかなりまともな安宿に泊まれる値段だ。しかしデリーっ子の二人が薦めてくれたお店に、セタガヤトーキョーから来た我々が入らずしてどうする、と足を踏み入れてみた。
「こじゃれてる」だけが取り柄の店ってどこへ行っても似た雰囲気がある。申し合わせた訳でもないのに。以前イスタンブールでも流行のイタリアンレストランに入ったことがあったが、そこと内装や食器のデザインがそっくりだ。そういえば東京だって私が学生の頃はこの手のカフェとかカフェバーとか妙に高かったよなあ。北海道から上京した田舎娘の私は、そういう洗練された雰囲気の店に入るのがうれしくて高いお金を払ったものであります。今じゃそんな背伸びをする奴は無粋だと笑われるのでしょうが、当時はみんな真剣だった。そんな青い記憶がありありと甦るような、ここもまさにそんな感じの店。ブルーを貴重にした地中海風の内装、テラス席にはデリーのいいとこの子女達が楽しげに談笑してる。ファッションもいかにも気張ってますって感じではなく普通のカジュアルな服を普通に着流してる、そのさりげなさにかえって年季を感じる。闖入者である我々をちらっと見て、素早く値踏みし、また何事もなかったかのように、仲間たちと談笑に興じるこの感じもまさに、まさに全世界の「こじゃれた」店共通の雰囲気なのだった。でも、なんだかんだいってこういう所は実は嫌いじゃないのだ。席に着いて私も皆さんの服装や佇まいチェックさせていただきました。
 さて、注文した270rpのラザニアセットは・・せっかく写真を撮ったのだけど、サラームのパソコンが壊れ、データが飛んでしまった。まあ東京のお洒落なカフェ飯を思い浮かべてみて。それより大盛り&大味でしたがなかなか美味しかった。しかし会計は2人合わせて550rp。う〜んやっぱかなり値がはるなあ。ちなみに1rpは2.5円なんだけど、物価の一応の目安として、100rpで千円くらいの価値感覚と考えていただくとわかり易いと思う。ガイジン食堂でチャイ飲んで7〜10rp、チャーハン頼んで30rp、かなり綺麗な映画館の入場料が50〜100rp、汚い映画館なら20rp。というわけで550rpのカフェ飯って相当すごい。ここに来てる子達、みんなお小遣いいくらくらいもらってるのかな?

 

TURTLE CAFE



 そんなこんなで週末はとうとうデリーのクラブ「NO ESCAPE」に侵入!前述のカフェの件もあったので、一体入場料いくらとられるのかと危ぶんでいたが、300rpで2ドリンク付き、インドじゃアルコールは高いのでこれは思ったよりリーズナブルかな。さて、中に入ってみるとそこはまさにディスコじゃなくクラブであった。聞けば「クラブ」的なマインドの店はデリーではここ1件だけで、あとはディスコなんだそう。(ボンベイにはいっぱいあるとのこと)店内は2フロアに別れていて2階はテーブル席1階はフロアになっている。客層はこざっぱりしたインド人と3割くらいが西洋人。インド人は若者だけじゃなく、年輩の客も来ている。服装もクラバー服、インド服、好青年風なシャツにジーンズ姿とさまざま。女性達もタンクトップ姿で露出度高し、と思えばパンジャビスーツのお姉さんも。インドで感心するのは民族服が現代のファッションにアダプトした形で普通に着られていることだ。パンジャビスーツも市場で見かけるようなぼさっとした形じゃなく、スリムなシルエットで色合いも都会的かなりカワイイ。洋服を着ていても首にドゥパタ風にスカーフを巻いたり、丈長のチュニックにパンツとスカーフというような洋服でパンジャビ風シルエットを作っているのが面白い。
 11時過ぎにはすでにフロアはほぼ満員状態。思ったよりスノッブでもなく、オープンでピースな雰囲気。思いっきりラブラブで踊っているカップルも数組、映画でキスシーンもやらないのにこれっていいの?しかも男同士でいちゃついて人達もいる。(これはゲイなのか単なる過剰な友情なのか?)さらにバーカウンターを見ると誰かの財布がぽこっと置いてある。お兄ちゃんが財布を置いたまま踊り狂っているのだった。びっくりしたなあ。ある程度金持ってる人しか来ないから、安全ってわけでしょうか?ここもまたカギ括弧付きの「インド」とは別な世界なのだ。
 しかし、酒を飲んだインド人達ってば異常にテンション高いんだ。よく、インド映画の中で酒をうっかり飲んでしまったヒロインが超ハイテンションで踊りまくると言うシーンがあったりするのだが、日本人から見るとほとんど薬物投与かって思うくらいなんだよね。トイレに並んでいてもみんなうるさいうるさい。待ちきれなくてドアをどんどん叩いたり、口論になったり、バイオレンスな感じじゃなくてみんなそうやって大声で言い合って楽しんでいるのだ。いくら育ちが良くてもあの喧噪の中で生まれ育った人達だもんね。スピーカーの音も半端じゃない。真ん中に立てないってば〜。もしかしてインド人がみんな大声なのは騒音に慣れすぎて難聴気味なんじゃないかしら??。
   今日のDJはミディバルの2人にカーシュカーレイ、とミディバルの家で会ったDJジャイアン(名前(笑)だがナイスガイ)とほか1名。ミディバルは2ヶ月に1度くらいの割合でパーティーを開いているらしが今日はカーシュも呼んで特別に大きいイベントだとのこと。テレビの取材も入っていた。
詳しい音楽の内容は旦那担当なので書きませんが、初めはエイジアングルーヴな曲中心だったのに気が付くとだんだんトランシーになり、3時過ぎると、まるで夜明けのレイヴかと見まがうほどのバキバキのサイケデリック・トランスで、テーブル席には座っている客もいなく、みんなフロアで踊り狂っている。でも屋内のクラブでもやっぱりインドにトランスはよく似合うとしみじみ思った。もし、ここでお洒落なハウスがかかってもきっとしっくりこない、丸みのあるグルーヴは似合わない。ぱきーんと熱に浮かされたようにテンションが上がる、しかもどっか土っぽい匂いのするトランスが絶対いいのだ。トランスの持つグルーヴは、そのままインドの町中で出会う、気が狂いそうな喧噪と人混みと熱と生き物の匂いとシンクロする。
 やっぱサイケデリック・トランスってインドから生まれたんだなあ〜。と再確認した夜。 

NO ESCAPE