旅行記
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インド旅行記・カルカッタ編 5それでもうまいものはある
二人だけだと、すでにどうしようもない私たちは、カルカッタでタブラ修行中の湯沢さんのところに取材と称しておじゃましたりして、ずいぶんお世話になってしまった。しかしどう見ても住みにくそうなこの町に彼はもう6年も毎年、タブラの修行のため訪れているのだった。今回はしかも1年の滞在予定だと言う。既に彼はベンガル語がぺらぺらで、薄汚く騒々しい生き馬の目を抜くようなこの街でひょうひょうとマイペースで生きているように見える。その上なんだかふっくらしていて、聞けばインドに来てずいぶん太ったらしい、う〜んすごいたくましいなあ。でもそばで見てるとよく食べるんだ。30過ぎて胃腸のご機嫌伺いながらおそるおそる食事している私たちから見るとうらやましい限り。若いっていいな〜とかおばさんくさいこと思っちゃったりして。(詳しい彼のレポートはサラームがどこかに書くのでよろしく)
カレーがうまくないと我々が愚痴ると、湯沢さんは「アーヘリ」というベンガルフードの高級レストランに連れて行ってくれた。ここで270rpのベンガルターリーを食べるが、さすがにこれはうまかった。丸いお盆の上にダルとナスのサブジ、揚げたナマズみたいな魚のカレー、エビとチキンのカレー、ナッツとドライフルーツ入りのプラオ、甘い米のデザートの器が並ぶ。ご飯はお変わり自由。どれもこってりしてなくて、さわやかにスパイスが効いている上品な味だ。来る前は菜食主義者が多い所なのかと思ったけれどベンガル料理といえば川魚がメインなのだそうだ。(インドの川魚ってちょとコワい......)「中級くらいの料理があんがいこってりしてるんですよ、それ以下のどうってことない食堂の方が多分あっさりした味付けですよ」と湯沢さん。でも、あまりにもそのどうってことない店というのが汚すぎて入れない・・。確かに道ばたで労働者が食べているような屋台をちらっと見たけど、じゃがいもだけのカレー煮という趣のサブジで、ああいうのは地味でいいのかもしれないけど、腹に自信がない......。
なにせ、そういう店は路上に設置されている井戸で、兄ちゃんがウンコ座りしてざくざく食器や鍋を洗っているし、夜は電球じゃなくてろうそくの灯りで商売している。この大都会であまりに原始的すぎる営み。別に私だって特別潔癖でもないし、大抵どこに行っても地元の大衆食堂に入れるけど、カルカッタの店は2の足を踏むところが多い。ちょこっとましな店に入ってもオシッコ臭くて食器もちょっとべとっとしているのだ。それは多分無頓着というより、湿度の多い気候のせいと下水処理がしっかりしていないのと、洗剤の質が悪いからなのだろうけど。日本からいきなり来ると、かなり食欲をそがれる。
それでも、何日か滞在しているうちにだんだんましな物が見つけられるようになってきた。サダルとフリースクールストリートがぶつかるあたりに、いつもにぎわっている「プリンス」という大衆食堂があり、そこのご飯は思いのほかおいしかった。いわゆる、どうってことない普通のおかずなのである。値段も一皿8rp前後と安く、料理もいかにも「おかず」っぽくほうれん草やキャベツのサブジ、魚のカレーなどどれもさっぱりとして普通においしいのだった。胃にしみる味だ。多分家庭料理はこんな感じでそれほどこってりとはしていないんだろうな。こんなおかずを食べると、我々がカレーと考えるあのスペシャルな食べ物も、肉じゃがやひじき煮にのスパイス味にすぎないのだなあと思う。 そうそうベルプーリという、ベビースターラーメン状のものとタマネギやトマトやコリアンダーを甘辛ソースであえる、ストリートスナックもなかなかいけた。しかし、煮付けっぽいサブジにしろ、甘辛ソースであえるスナックにしろ、ベンガルフードのテイストはインドの中でも東南アジアに近い雰囲気。ごちゃごちゃした威圧感のない町並みもそれっぽい。ここはデリーよりミャンマーの方が近い土地な訳で、それが今度はずーっと西に行きジャイサルメールまで足を延ばせば、パキスタンやアフガニスタンに近くなる。そこではどんなカレーが食べられるのか楽しみだ。インドって広いんだなやっぱり。うまいものを食べられたら少し元気になってきた。