中東の鳩料理、ついでにラクダバーガー

ラジオ高崎 Musique Sans Frontiere 2021年4月第1週放送回の特集のため、中東の鳩料理とついでにラクダ料理の写真をこちらにまとめます。

まずはエジプト、カイロの鳩料理、ハマム・マハシー、鳩のご飯詰め。イスラミックカイロにある専門店ファラハト。

一つだけ空いていた路上のテーブルに案内され、席に着くとすぐに、濁ったオニオンスープのようなハシバミ色のスープがガラスのコップになみなみと注がれて運ばれてきた。鳩のガラで取ったスープらしい。レモンを搾っていただくと、鶏のガラで取ったスープよりも臭みが強いが、しっかり味が濃い。これは身体が内側から温まりそうだ。
 続いて前菜のムタッバル(ナスとゴマのペースト)、タヒーナ(練りゴマのペースト)、トマトとキュウリのサラダ、キュウリや青唐辛子のトゥルシー(ピクルス)、そしてホブス(ピタパン)がドサっとテーブルに並んだ。
 前菜をピタパンに挟んでいただいていると、白煙がモウモウと流れ出てくる厨房の建物から、メインディッシュのハマム・マハシーが運ばれてきた。アルミの皿の上には羽根をむしった小鳩そのものの姿がドーンと載っている。皮の表面は秘伝のタレ(?)が染みこみ茶色に輝いていて、まるで小さな北京ダックみたいだ。
 これは美味そう! 早速いただきま〜す!
 しかし、この小鳩をどうやって食べれば良いのか? と思っていたら、サイードがナイフもフォークも使わずに手を使って食べる正しい食べ方を教えてくれた。
 まず、左手で胴体、右手でモモを掴み、そのままぐいっとひねって、胴体から切り離す。続いて反対側のモモと、両方の手羽を取り外す。そしてまず切り離した四肢から頬張る。これが感動する美味さだった。鶏と比べて身は少ないが締まっていて、鴨のように肉の味が濃くまさにジビエの味だ。
 モモ、手羽を食べ終わると、今度は胴体から骨盤をバリっと外す。すると中から炊き込まれた薄褐色のご飯が現れた。ご飯は日本の鶏飯のようにほんのり甘い。
 トルコの御飯詰め料理ドルマと同じように、お米をみじん切りの玉ネギととともに炒めてから、オールスパイスやシナモン、塩、コショウで味を付けてから、鳩に詰めて火を通すのだろう。鳩の肉汁がお米に染みこんでいて、これは美味い! 美味すぎる! 
 その上、初めて食べる料理なのに、ご飯が日本と同じジャポニカ米なのと、ちょっと甘じょっぱい味付けが不思議と懐かしい。何なんだこの懐かしさは? じっくり味わうつもりが、気づくと、お皿の上にはきれいさっぱり骨だけが残っていた。
 食べ終わると、身体の芯がなんだかホカホカし始めた。するとミレイユが「ハマム・マハシーは精が付くと言われている料理なんです。日本で言うとウナギみたいなものかしら」と言い出した。それだ! まさにその通り! 
 ウナギも味の染みこんだご飯と常にセットだし、精が付く料理だし、甘じょっぱいタレの味付けもなんとなく似ている。それにお店のオンボロな佇まいも、端の焦げた団扇を使って炭火を扇いでいそうな厨房も共通する。よし、「ハマム・マハシーはエジプトの鰻重」!と勝手に命名してしまおう! 

『おいしい中東 オリエントグルメ旅』(双葉文庫から)

続いてはイスラエル・エルサレム旧市街のコスタズ・グリーク・レストランで食べたハマム・マハシー

エルサレム旧市街、ダマスカス門から旧市街に入り、イスラーム教地区を南に進んだスークの中にある、これまた歴史のありそうなしなびたレストランに案内された。コスタズ・グリーク・レストラン(Costa’s Greek Restaurant)は、1930年代にギリシャ人のコスタさんが始めたレストランを、現在はパレスチナ人の主人が継いでいるという。ここの名物は鳩の御飯詰め「ハマム・マハシー」だ。エジプトのカイロでもハマム・マハシーを食べたことがあるが(「おいしい中東」参照)、それは鰻重を思わせる甘じょっぱいタレをかけてオーブンで焼いた料理だった。それに対してギリシャ~パレスチナのハマム・マハシーはご飯を詰めるところまでは一緒だが、スープの中で茹でて作っている。鳩のガラで取ったスープが出てくるのもエジプトと同じだ。小鳩のももを骨ごとむしり取ると、中から湯気とともにご飯がたっぷり顔を出した。うわ~美味そう!
「ハマム・マハシーは天然のバイアグラと呼ばれているんだ」ニヤニヤしながらカマルが言うが、同じ台詞をエジプトでも聞いた(笑)。お店を出る際、老主人の写真を撮らせてもらうと、何を思ったかオヤジさん、フランソワーズの肩を抱いて2ショットのポーズをキメた。毎日、ハマム・マハシーを食べていると、何歳になってもスケベなオヤジでいられるようだ。

『イスタンブルで朝食を オリエントグルメ旅』(双葉文庫から)

そして最後に中東の変わった肉料理ということで、ラクダの肉を使ったハンバーガー。

モロッコのフェズの市場でラクダの肉を売っていたお店の店頭にラクダの頭が飾られていた。
そして、外国人旅行客に人気のレストラン Cafe Clockではラクダバーガーが人気メニュー。パサパサで特に美味しくなかった。


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