David Bowie / Neukölln

Bowieの曲を追悼でタイムラインに揚げる人が多いから、僕も一つ。僕は今日の午後はトルコ系ドイツ人映画監督ファティ・アキンの新作映画「消えた声が、その名を呼ぶ」の公開記念トークショーで喋ってきました。
ファティ・アキンは趣味でDJもしているほどの音楽好き。80年代のハンブルグでニューウェイヴを聴き育ち、家庭ではトルコ音楽が流れていた。そんな彼が音楽面で信頼を寄せるのが、Einstürzende Neubautenのベーシストであるアレキサンダー・ハッケ。今回はアルメニアの旋律を元に、ディストーションギターで奏でられるオルタナティブ・ドローン・ブルースであり、マカロニウェスタンというか、アルメニアだけにマントゥ・ウェスタンな仕上がりだ。

そのハッケは1965年にベルリン郊外、当時の言葉で言う「ガストアルバイター(要は移民労働者)」、特にトルコ系が多く暮らしていたノイケルン地区生まれ。そして彼が15歳の頃に付き合っていた彼女があのクリスチーネF。BOWIEが彼女の自伝映画に本人役で出演し、リーゼントヘアで「Station to Station」を歌っていたことも思い出す。

ということで、昨夜思い立って、Bowieの”HEROES”収録の曲「Neukolln」を聞き直すと(つーか年に何度も聴いてるけど)、ハッケが作った「消えた声が、その名を呼ぶ」の音楽によく似た、無国籍エキゾ音楽だった。ハッケはこの曲で描かれた町ノイケルンで育ったからこそ、ドイツ人なのにトルコ音楽にシンパシーを感じてきたのだ。

そこで、今日の午後はパワポを使って、恵比寿ガーデンシネマでこの”HEROES”のジャケを投影した。そして、トークを終えて、映画館を出て、電車に乗り、スマホを見て、BOWIEが亡くなったことを知った。

多分、この週末は世界中の音楽好きが「★」に影響を受けて、なにかしらこのような事を 行っていた人がいたのでは? 少なくとも僕だけじゃないだろう?

Bowieの音楽には最後の最後までそのように人を動かす力があった。謹んで冥福を祈ります。


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